特殊詐欺やフィッシング詐欺対策サービスを提供する「トビラシステムズ」社は、2024年9月の詐欺電話や詐欺SMSに関する調査結果を発表。
国際電話詐欺やフィッシング詐欺の新たな手口が増加していることが明らかとなっている。
調査は、2024年9月1日から9月30日までの1か月間にわたって実施されており、同社が運営する迷惑電話番号データベースと、SMS詐欺に関するモニタリングデータを用いて詐欺電話や詐欺SMSの傾向を分析した結果を基に作成されている。
国際電話詐欺やフィッシング詐欺の新たな手口
◆国際電話詐欺の増加
2024年9月に新たに迷惑電話番号として登録された国際電話の割合は、前月から18.4%増加しており全体の60.6%を占めた。
特に「+1(844)」を含む北米地域の国番号からの着信が多く、これらの番号は企業や官公庁を装った詐欺に頻繁に利用され、アメリカやカナダ、またイギリスやトルコからの着信が多いという。
◆警察や総務省をかたる詐欺
末尾「0110」の番号を使用して警察を装った詐欺電話は、「オレオレ詐欺」の手口の一種。
この番号の末尾は日本国内の警察署で一般的に使われているため、受け取る人に「本物の警察署からの連絡」だと思わせる効果があるとされる。
特に高齢者を対象に、「重要な確認事項がある」や「詐欺被害を未然に防ぐための協力が必要」といった内容で不安を煽り、個人情報や銀行口座の情報を聞き出そうとする。
また一部の詐欺電話では、未使用の国番号「+803」が用いられ、通常の国際電話のように見せかけながら、実際には国内の警察署の番号に似せたものが使用されているとのこと。
2024年8月頃からは、実在する総務省の番号に似せた番号を使い、電話で「2時間後に電話が使えなくなる」などと伝える自動音声が流れる詐欺も発生。
電話を受けた人に操作を促し、「○番を押すと担当者につながる」といった指示に従わせることで、架空料金請求などに誘導するケースが確認されているとのこと。
◆地域性を帯びたSMS詐欺
9月には、「三菱UFJ銀行」や「りそな銀行」などの都市銀行だけでなく、「関西みらい銀行」「池田泉州銀行」「南都銀行」など関西圏の地方銀行を装ったSMSが多発した。
9月後半には「静岡銀行」を名乗るSMSも増加しており、東海地方に住む人々をターゲットにしていると考えられている。
8月には北海道・東北地方の「北海道銀行」や「岩手銀行」を名乗る詐欺が確認されたが、9月になると東海地方や関西地方の銀行が標的となり、悪用されるブランド名が地域によって変化する傾向が見られている。
これは、詐欺グループが地域ごとの生活習慣や特定の金融機関への馴染みを利用し、ターゲットを絞っているためだと考えられている。
また、金融機関だけでなく、地元の宅配業者や電力会社を名乗る詐欺SMSも確認されている。
これらのSMSは「配達物の未受取」や「料金未払い」を通知する内容で、リンク先で個人情報やクレジットカード情報を入力させる手口が一般的。
特に、地域限定の企業名を用いることで、受信者に「これは自分に関係する重要なメッセージだ」と思わせる心理的な効果が狙われているとのこと。
◆「闇バイト」による強盗事件への警戒
闇バイトに応募した実行犯は、ターゲットに関する情報収集を「アポイントメント電話」や「訪問」で行うことが多いという。
公的機関や企業を名乗り、家族構成や在宅状況、資産情報などを聞き出そうとする電話がかかってくることがあり、「資産や貯金額はどのくらいか」「日常的に留守にする時間帯はあるか」など聞き出そうとするケースが確認されており、回答することで強盗被害や詐欺被害につながる可能性があるとされている。
アンケートや調査を装った個人情報の収集、点検や訪問調査を装った下見行為に乗じた手口が注意点として挙げられている。
対策
こうした状況から取るべき対策として、以下の方法が挙げられる。
・知らない国番号や不審な番号の着信には出ない
・自動で遮断できる迷惑電話対策サービスを活用
・官公庁や企業からの緊急電話には冷静に対応
・SMSに記載されたリンクを不用意にクリックしない
・金融機関やインフラ企業の公式連絡先を利用する
・地域限定の企業を装ったメッセージに注意
・アポイントメント電話には対応せず、不審な質問には答えない
・訪問者に対してはドアを開けず、インターホン越しで対応
・周囲と情報を共有し、注意喚起を行う
・迷惑電話や詐欺SMS対策のアプリやサービスを利用する
日常的に警戒心を持ち、少しでも不安や不審を感じたらすぐに調べ直すことが、詐欺や犯罪から身を守る第一歩となる。
【参考記事】
https://tobila.com/