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【2024年版】プライバシーマークの改定内容のポイントまとめ

個人情報保護における法制度や規格は、急速な情報化の進展や国際的な法制度の動向、そして企業による個人情報の利用の増加に伴い、適切な形での管理が求められています。

この中で、特に注目されているのが「プライバシーマーク」およびその改定に関する動きです。

今回は、プライバシーマークの基本的な内容から直近の改定内容、そして改定されることによる企業への影響などについて順次掘り下げてご紹介していきます。

プライバシーマークの改定について

プライバシーマークとは?

プライバシーマークは、個人情報の適切な管理を行う事業者に与えられる認証マークであり、企業や団体が取り組むべき個人情報の適切な管理に対する規範を示しています。

このマークを取得することで、顧客や取引先との信頼関係の向上や、法令遵守のアピールが期待されます。

日本におけるプライバシーマーク制度は、「JIS Q 15001」に基づいています。JIS Q 15001は、個人情報保護に関するマネジメントシステムの要求事項について規定した日本の産業規格です。

ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)やISO 9001(品質管理システム)などのマネジメントシステム規格と同様に、組織が特定の要求事項に適合するためのマネジメントシステムを確立しています。

プライバシーマーク制度は、日本国内で個人情報の適切な取り扱いを行う事業者を認定する制度であり、その運営は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が行っています。改定は、時代の変化や法制度の進展に対応し、より効果的で適切な個人情報保護を確保するために行われます。

プライバシーマークの規格と構築・運用指針の違い

プライバシーマーク制度は、個人情報を取り扱う事業者に対して、個人情報の適切な保護措置を講じていることを認証する制度です。この制度において、JIS Q 15001は認証の基準となる規格であり、プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針は、JIS Q 15001に基づいてプライバシーマークを取得するための具体的な方法を解説したものです。

プライバシーマークの規格改訂とは?

日本におけるプライバシーマークの規格は「JIS Q 15001」です。プライバシーマークの国際規格がある中で、日本国内の状況に応じた形に調整されています。

これまでは「JIS Q 15001:2017」に沿って対応していましたが、2023年9月20日に「JIS Q 15001:2023」が発表されました。2024年10月1日から適用となります。

プライバシーマーク構築・運用指針の改定とは?

JIS Q 15001の改訂に伴い、日本におけるプライバシーマークの運営をするJIPDECでは、その構築・運用指針も改定し発表します。

最新の規格に対しては、2023年12月25日にJIPDECから新しい構築・運用指針である「プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針【JIS Q 15001:2023準拠 ver1.0】」が発表されています。

https://privacymark.jp/news/system/2023/1225.html

したがって、2024年10月1日以降はこちらに対応した状態で申請をする必要があります。より実務的な内容に落とし込まれているため、担当者としては、この構築・運用指針の改定内容に注視する必要があります。

今回のプライバシーマーク改定内容のポイント

プライバシーマーク改定のポイントは、主に法的規制の変更や社会的な要請に基づくものがあります。例えば、デジタル技術の進化により発生する新たなプライバシーの脅威に対応するため、セキュリティ対策や情報流出への対処が改定の焦点となることがあります。2022年4月に施行された個人情報保護法の大幅な改正への対応も含まれています。

JIS Q 15001:2023 の改訂ポイント

1.個人情報保護法改正への対応

・2022年及び2023年の個人情報保護法改正に対応

・仮名加工情報、個人関連情報の取扱いに関する要求事項を追加

・本人同意の明確化、データ持ち運び権への対応など、個人権利の強化

・特定個人情報保護評価制度への対応

2.マネジメントシステムの明確化

・PDCAサイクルに関する規定を附属書Aから規格本文に統合

・組織の状況に応じたマネジメントシステム構築を明確化

・リスクマネジメントの強化

3.その他の変更

・規格本文の構造見直し

・用語の定義の見直し

今回の構築・運用指針の改定ポイント

上記の規格変更を踏まえ、指針には下記のような変更がありました。

・規格との整合性を図るため、各章・節の見出し及び内容を一部修正

・特定個人情報保護評価制度に関する説明を追加

・リスクマネジメントに関する説明を強化

・文書全体の分かりやすさを向上させるため、用語の定義を一部修正

プライバシーマーク改定における今後の対応

JIPDECのサイトでは下記のスケジュールが発表されています。まずは、基本としてガイドブックや申請様式の取得や、解説ウェビナーなどへの参加による最新情報の収集をしていきましょう。

スケジュール

2024年2月~3月 :事業者向けガイドブック発行

2024年2月~3月 :事業者向け指針解説ウェビナー・動画配信

2024年7月~8月 :申請様式の公表

2024年10月1日 :構築・運用指針(改定版)に基づいた申請の受付開始

また、担当がこういった情報を集める時間や業務的な余裕がないということであれば、バルクのコンサルタントが集めた要点だけをお伝えすることも可能ですのでお気軽にご相談ください。

プライバシーマーク改定の影響

プライバシーマーク改定は、事業者だけでなく、一般の消費者にも影響を与えます。

改定により個人情報がより安全に取り扱われ、情報流出や不正利用のリスクが低減することが期待される一方、事業者にとっては改定に伴うコスト増加や体制の再構築が必要となるため、経済的な影響も考慮しなければなりません。

今回の改定によって、2024年10月以降に審査を受ける企業は対応に追われることになるでしょう。

ただ、今回の改定によって実際にどのくらい影響があるかはまだ始まってみないとわからないところも多いため、ここからは一般的にプライバシーマーク改定の際の影響をまとめてみます。

企業への影響

企業にとっては、プライバシーマーク改定は経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

具体的な規制内容によっては、情報セキュリティの強化や内部組織の改善が求められ、これに伴う経営資源の再配置が必要となります。

また、改定を逃れることなく対応することで、企業の信頼性向上や顧客獲得の一助となる可能性もあります。

考えられる企業への影響は以下7点です。

1. 法的コンプライアンスの向上

プライバシーマーク改定は、個人情報保護法などの法律に基づくものであり、改定により法的コンプライアンスの向上が期待されます。企業は法律に適合するために内部の規程やプロセスを適切に見直す必要があります。

2. 新しい規格への適応

改定により新たな規格や要件が導入されることがあります。企業はこれに対応するために、システムやプロセスの改修、トレーニング、および従業員への教育などが必要となります。

3. 業務プロセスの見直し

プライバシーマーク改定により、個人情報の取り扱いに関する業務プロセスが変更される可能性があります。これに伴い、企業は現行のプロセスを見直し、変更点に適応する必要があります。

4. 信頼性の向上

プライバシーマークを取得していることは、企業の信頼性やブランド価値を向上させる要素となります。

改定により、プライバシーマークの信頼性がより高まることが期待されます。

5. コストと時間の投資

新しい規格や要件への適応には、企業が時間と資源を投資する必要があります。

これには従業員のトレーニング、システムのアップグレード、法務やコンプライアンスへの専門的なサポートなどが含まれます。

6. 競争上の優位性

プライバシーマークを取得している企業は、個人情報の適切な管理をアピールポイントとして顧客にアピールできる可能性があります。改定により、これが一層強調される可能性があります。

7. データ利活用の変化

新たな規定や要件により、企業のデータ利活用に変化が生じることがあります。例えば、仮名加工情報の取り扱いが緩和され、ビッグデータやAIの利用が柔軟になることが考えられます。

企業はこれらの影響を理解し、変革に柔軟かつ効果的に対応することが求められます。

適切なコンプライアンスとデータ管理は、企業の信頼性を向上させ、競争力を維持・向上させる要因となります。

プライバシーマーク改定の今後の展望

プライバシーマーク改定の今後の展望は、テクノロジーの進化や社会の変化に迅速に対応することが求められます。

特に、人工知能やIoTなどの新たな技術が普及する中で、それに伴うリスクへの対処が注目されるでしょう。

制度自体の柔軟性や透明性を高め、未来のプライバシー課題にも迅速に対応する体制が整備されることが期待されます。

国内外の動向

国内外のプライバシーマーク制度や個人情報保護法の動向も重要なポイントです。

国際的な標準に合致し、国際的なデータ移動にも適した制度を構築することで、グローバルな取引やデータの受け渡しにおいても円滑な運用が期待されます。

また、海外の事例や動向を参考にしつつ、国内のプライバシーマーク制度を改善することが求められます。

まとめ

企業はこれらの変更に柔軟に対応し、個人情報の適切な管理を継続する必要があります。改定は企業の法的コンプライアンス向上や信頼性向上に寄与する一方で、新しい規格への適応や取り組みに伴う課題も存在します。

今回の改定のポイントとして、大きく審査内容が変わるわけではありませんが、対応する必要がある部分も存在します。

バルクでは、今回の改定内容に関する情報を積極的に収集しアドバイス・支援できる体制を整えていますので、プライバシーマークの更新や新規取得でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。